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『幕末維新の暗号』(加治将一 著) [本]

幕末やら明治維新を追いかけ続けている人なら、どこかで必ず遭遇すると思われる有名な写真があります。
「フルベッキ写真」と呼ばれる大人数の若い武士が集った集合写真です。



この本はその写真に写っている人々の特定から始まって、やがてお話は南北朝について論じ、そして最終的には歴史を語る上でタブーとなっている分野に分け入ってしまいます。
この写真は誰・・・という特定作業に終始するものかと思って読み始めたのですが、作者の論じたいところはそれは一過程でしかありませんでした。

集っている武士はいわば幕末期のオールスターとも言えるような面々!
薩摩、長州、土佐、肥後そして徳川幕府からも有名どころの人々が居並んで一枚の写真に納まっている様は、「まさか・・・!」という思いがどうしても湧き出てしまいます。
と言っても、あくまで小説の態を採っているので、「おはなし」として読み進めなければいけません(笑)。
どこまでが、レポとして受け入れればいいのか?その境界線をフラフラとバランスを取りつつ読んで行くのがなかなか難しい本でもありました。

その昔、南北朝のことを初めて歴史の時間に習った時に私も疑問を抱いた覚えがあります。
古代からの流れを受け継いだ南朝が北朝に取って代わられたのなら、今の天皇家って?
その単純な疑問に一つの答えを提示してくれていました。
でも、やっぱりスッキリはしません(笑)。
同じ事柄でも見る方向によって解釈が異なって来る例として、一つの可能性としてならなかなか面白い「小説」でした♪



幕末 維新の暗号

幕末 維新の暗号

  • 作者: 加治 将一
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2007/04/21
  • メディア: 単行本



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『山口百恵 赤と青とイミテーション・ゴールドと』(中川右介著) [本]

書店をぶらついていてつい立ち止まってしまいました。
やっぱり気になる世代です(笑)。

まず序章として-前史-から始まります。
彼女の登場するまでの大まかな大きな芸能プロダクションの流れが解説されていることによって、一般人には見えない力関係や系譜のような予備知識を得ることができます。
そして1~9章で、1972年~1980年までを1年毎の区切りとして、彼女の活動が残されている資料を基に順を追いながら綴られています。
資料としては、のちに自叙伝としてベストセラーとなった『蒼い時』、『被写体』『相性』(三浦友和著)といった当事者の著書、直接関わりを持った人達の回想録の数々、テレビ番組関連の資料から当時発売された週刊誌の記事に至るまで、驚くほど多岐にわたるものが集められています。
当時の世相もほんの少し語りつつ・・・ちょっとしたタイムトラベル気分を味わうことが出来ます。
「ベストテン」(TBS)のランキングの詳細には、「その頃」の自分の日々をかなり鮮明に蘇らせる魔法のような力がありました(笑)。
「総体としての山口百恵」を掲げて書かれているこの本は、結果・考察という項目はありませんが、一種の論文を読んでいるような錯覚さえ覚える妙にアカデミック色濃いものでした(笑)。


山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと (朝日文庫)

山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと (朝日文庫)

  • 作者: 中川右介
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2012/05/08
  • メディア: 文庫



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『シンメトリー』(誉田哲也 著) [本]

『ストロベリーナイト』シリーズの短編集です。
東京・過ぎた正義・右では殴らない・シンメトリー・左だけ見た場合・悪しき実・手紙・・・の7編。

『ストロベリーナイト』のように過激なところもなく、短編集だけにさっくりと事件はどれも解決に向かいます♪
姫川刑事の活躍が軸となっているのですが、時系列は様々で刑事になりたての頃のお話も混ざっています。その頃の姫川刑事と後の彼女との微妙な違いなどを探りながら読み進めると、別の楽しみ方が出来ます(笑)。
ドラマで描かれていた原作なのですが、ドラマとはちょっと違ったエンディングだったり人物設定だったり・・・それも一味違って面白い点です。

映画化が楽しみです♪


シンメトリー (光文社文庫)

シンメトリー (光文社文庫)

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/02/09
  • メディア: 文庫



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『ストロベリーナイト』(誉田哲也 著) [本]

『ソウルケイジ』からの逆流(笑)。
実は、以前にも書店で手にとってみたことがあったのですが、冒頭のあまりにグロテスクな展開をチラ読みして・・・引いていました。
結局は『ソウルケイジ』からの勢いに押されて読んでみることに・・・。

ドラマ化されていたので、ストーリーは周知の通りなんですが、映像ではフィルターがかかっている場面も文章となると結構過激なものでして、冒頭シーンを筆頭になかなかキツイものがありました。
ストロベリーナイトと称される殺人ショーを巡るお話ですから、それは覚悟の上で読まなきゃいけませんかね?
ただ、それだけじゃないのが良いところです。
主人公の姫川警部補の強さや弱さ、彼女のチームメンバーのそれぞれの個性、関西弁で執拗に彼女に付き纏う井岡刑事のキャラの面白さ。敵役のような日下刑事やガンテツが要所要所でキッチリと場面を引きしめている小気味良さ!
ガンテツに至っては、ドラマでは武田鉄矢さんが本当に憎々しげに演じていらっしゃいましたが、原作ではそのヒール部分と見せたくない熱い部分の匙加減が絶妙で、よりいっそう奥深さを感じさせるキャラとなっているのにビックリでした。


ストロベリーナイト (光文社文庫)

ストロベリーナイト (光文社文庫)

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/09/09
  • メディア: 文庫



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『ソウルケイジ』(誉田 哲也 著) [本]

『ストロベリーナイト』に始まる姫川警部補シリーズです。
タラタラとドラマを見ていて、シリーズの最後を飾る3週連続のストーリーに興味をそそられて、原作に手を伸ばしました♪程良いストーリーの込み入り具合です(笑)。
物語の大きなテーマが「父性愛」!
ちょっと日本のお話では少ないパターンです。
物語の軸となる人物にこれほどまでの父性愛が何故に芽生えたのか?自分が選択した我が子を守る手段に対する一つの贖罪としてだったのか?
人生をある時点で捨てた人間の強さの形だったのか?
このお話の中で語られる「父性愛」については、難しいところがありますねぇ~。。。

警察機構の難しさもチョコチョコと散りばめられて、それぞれのキャラクターが生き生きと動き回り長身で美人な姫川刑事の推理の冴えも小気味よく・・・面白く読みました。


これは、前作の『ストロベリーナイト』も読んでみなくてはっ!と、またまた、嘗ての『楽園』→『模倣犯』(宮部みゆき著)と同じく、逆流現象を起こしてしまいました(笑)。

しかし、『ソウルケイジ』の意味って?単純に和訳でいいのでしょうかね?


ソウルケイジ (光文社文庫)

ソウルケイジ (光文社文庫)

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/10/08
  • メディア: 文庫



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『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド著) [本]

学生の時も人類学という科目は選択しないで終わってしまっていたので、はぁ~~!という驚きを通り越して「ひょぇ~~!!」という全てに目から鱗状態になる本でした。
と、言ってもサラッと読み飛ばすにはかなり難解(笑)。苦戦を強いられました。。。

目次をパラパラと眺めてみて飛びついた訳なんですけれど・・・。
例えば、
・スペイン人とインカ帝国の激突 (ピサロと皇帝アタワルパ)
・農耕を始めた人と始めなかった人
・毒のないアーモンドのつくり方
・なぜシマウマは家畜にならなかったのか
・家畜がくれた死の贈り物 (流行病とその周期)
・平等な社会から集権的な社会へ
・中国はいかにして中国になったのか
・アフリカはいかにして黒人の社会になったか

世界史では、人類の発生的なお話のあと何となく時代があっという間に流れて、四大文明云々から本確定な歴史のお勉強でした。
そこでは、既に人々は集権的な社会を作り農耕を始め、いろいろな発明品や学問も存在していました。そこに至るまでの長~~い年月の間にどんなことが起こっていたのかということを考えてみることもありませんでした。
専門的に知識を伸ばす人を育てるには、食料調達に一日中時間を費やす必要のない人を養うだけの食料の余剰が必要となって来ます。そのためには、一定規模の人口の増加や安定した食料の供給源の確保が欠くことのできない条件となってくる訳です。・・・そんな基本的なことも考えたことがありませんでしたぁ~。
1万3000年の長い時間のことを考えると、200年や300年の時間なんてついこの前なんて感覚になってしまいます(笑)。
ピュリッツァー賞受賞作品とのこと。
ジャーナリズム部門がよく話題に上るので、てっきりその部門だけかと勘違いしておりました。これも目から鱗でした。。。


銃・病原菌・鉄 上下巻セット

銃・病原菌・鉄 上下巻セット

  • 作者: ジャレド ダイアモンド
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2010/12/10
  • メディア: 単行本



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『日本史有名人の死の瞬間』(新人物往来社編) [本]

新人物往来社と言えば、その昔今では考えられないくらい「新選組」に対する世間の認知度が低かった時代に、『新選組顛末記』(永倉新八著)から始まって次々と関連書物を発刊してくれた私にとってはありがた~~い出版社です(笑)。・・・本当にお世話になりました!

「日本史有名人」という括りがちょっと笑えてしまうのですが、時代ごとに分けられた中に並んでいる名前を見ると、なるほど~っと納得のラインナップです。
奈良時代の長屋王、平安時代の藤原道真あたりは、伝説の域のお話。幕末から明治以降となると、かなり資料も残っているので、その瞬間の描写もリアリティーのあるものとなります。

個人名が並ぶ中に、「白虎隊」という名前が混じっているのには「あれまぁ~」でしたけれど・・・。
『歴史読本』という古くからの歴史雑誌を手掛ける出版社だけあって、それぞれの人物についての専門家が筆を執っていらっしゃるようで、なかなか信憑性の高いお話が並んでいます。


日本史有名人の死の瞬間 (新人物文庫 し 1-1)

日本史有名人の死の瞬間 (新人物文庫 し 1-1)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新人物往来社
  • 発売日: 2009/06/05
  • メディア: 文庫



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『聖なる怪物たち』(河原れん著) [本]

これもまた今期のドラマ原作です。

かつて聖職者と呼ばれていた職業・・・今では直接神様に関わる仕事?に携わる限られた範囲をさすだけになりましたが、医師や教職者もそう呼ばれるのが普通だった時代がありましたっけ・・・と思い出しました。
そんな医師と教職者の世界を背景に、代理出産という難題をも含んだお話です。

とにかく、主人公である青年医師の日常の大変さは、肉体的精神的と両面から締め付けられるような痛みすら感じられます。そんな彼が巻き込まれた、代理出産の罠。
『ジーンワルツ』(海堂尊 著)も同じく代理出産を扱ったお話でしたが、あちらはまだ気持ちの逃げどころがあり「よかったね~♪」という終わりが待っていました。ところが、こちらは代理出産が招く悲劇が用意され、且つラストのどんでん返し的展開によって「あれまぁ~!」と、生まれた命にまで同情したくなるような・・・。

ドラマはどんなストーリに仕上がっているのでしょうね(笑)?


聖なる怪物たち (幻冬舎文庫)

聖なる怪物たち (幻冬舎文庫)

  • 作者: 河原 れん
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/12/27
  • メディア: 文庫



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『最高の人生の終わり方』(渡辺千穂・龍田力 著) [本]

ドラマのノベライズです。
脚本を基にして、4話の内2話はオリジナル作品。
何気なく観たドラマの初回と2話目で「なかなか面白いぞ♪」と思っていたところ、2話までがその脚本からのノベライズだったもので活字として読んでみたいなぁ~と♪

葬儀屋さんを舞台にしたストーリーですが、警察からの依頼を受けることが多いという展開と、ここまで葬儀屋さんが介入することはないでしょ!というちょっと無理やりなお話という点に突っ込みを入れないで・・・さらっと読み進めることにしました(笑)。
葬儀屋さんといえば、『おくりびと』(2008年)という格調高い名作映画が思い出されますが、私的には遙か昔…確か小学生だった時に読んだ『颱風とざくろ』(石坂洋次郎 著)が浮かんで来ます。産婦人科医院の息子と葬儀屋さんの娘が織りなすラブストーリーなんですが、人の出生と死に関わる両極端な家業の家族模様も加味されて面白いお話でした。
加えて、昨年母の葬儀の折に実際に大変お世話になった葬儀屋さんの見事なお仕事ぶりを思い出しつつ、読んでしまいました。

まぁ、刑事さんと一緒になって故人の人生を葬儀屋さんが調査するという展開にはかなりの無理を感じてしまいますが、真摯に本当のプロとして葬儀に関わってくれている姿としてそこに「嘘」は無いのかもしれないなぁ~と思いました。
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『命の終わりを決めるとき』(朔 立木 著) [本]

前に読んだ本が事件モノのレポートで、内容もかなりハード。読みながらどんよりと落ち込んでしまったのですが・・・。
書店で何となく手に取ってしまったこの本も読み進めるうちに・・・あちゃ~~「暗い!」と(汗)。
タイトルからして、何となく予想はできたのですけれどね。

「終(つい)の信託」

「よっくんは今」

の2作の短編なんですが、片や検察官もう一方は刑事からの取り調べを受けている被疑者のお話です。作者が現役の法律家というプロフィール・・・法律家というものが何を示すのか?ちょっと謎ですけれど(笑)。
共に、普通あまり御縁の無い場所の描写にへぇ~~と驚きながら読んでいるうちに、ドラマや映画での取り調べシーンの裏側の心理戦のようなものが見えて来てます。
そんな表面的な内容もですが、
「終(つい)の信託」では、リビング ウィルというとてつもなく大きな問題が提示されます。
「よっくんは 今」は、殺人を犯した女性の内面の言い訳を延々と聞かされるような・・・耳を貸せば「なるほど」、常識的に読めば「いいかげんにしろ!」といろいろな受け取り方の出来るお話です。

やっぱり・・・疲れました(笑)。

「終(つい)の信託」は周防正行監督で映画化されるとか。
肝心の主人公の女医を草刈民代さんが演じられることに少々不安を感じてしまいますが、ちょっと観てみたいです♪・・・映画を観ても疲れますかね(笑)?




命の終わりを決めるとき (光文社文庫)

命の終わりを決めるとき (光文社文庫)

  • 作者: 朔 立木
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/06/12
  • メディア: 文庫



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